人間関係で同じことを繰り返すのはなぜ?|交流分析「やりとり分析」で見えたこと

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「なんで、この人と話すと毎回こうなってしまうんだろう。」
「また我慢してしまった。」
「あの時、あんな言い方しなければよかった。」
人間関係でこんな経験はありませんか。
私も以前は、同じようなことで何度も悩んでいました。

前回の記事では、交流分析の「構造分析」を通して、自分の中にはさまざまな自我状態があり、その時どの自我状態が強く出ているのかに気づくことの大切さを書きました。

変わりたいのに変われないのはなぜ?構造分析で見えたこと

今回は、その自我状態をもとに、
「なぜ同じような人間関係を繰り返してしまうのか」
「どうすれば少しずつコミュニケーションを変えていけるのか」
やりとり分析を通して見えてきたことを書いてみたいと思います。



私は現在ヨガ講師として活動しています。ヨガを伝える中で、身体だけでなく心の仕組みを知ることの大切さを感じるようになりました。その学びを深める中で、心の仕組みは人との関わり方にも深く影響していることを知りました。以来、身体アプローチを提唱する日本ヨガ心理学協会で学びを続けています。

人間関係は、幸せな人生を送るうえで欠かせないものです。でも、その土台となるコミュニケーションについて、私たちは意外と学ぶ機会がありません。だからこそ、コミュニケーションについて学ぶことには大きな価値があると感じています。


実は、以前の私はコミュニケーションがとても苦手でした。特に、相手の何気ない一言に「否定された」「責められた」「批判された」とネガティブに受け取りやすく、「受け取り方を変えればいい」と頭では分かっていても、それができずに苦しんでいました。
コミュニケーションの仕組みをひも解く「やりとり分析」を学ぶ中で私は、相手の言葉そのものではなく、「自分がどう受け取っているのか」に目を向けることの大切さに気づきました。



■私には二つのパターンしかなかった

相手の言葉にモヤモヤしても、
「まぁ、いいか。」と自分が折れる方を選んでしまったり、

一方で、 「なんでそんな言い方されなきゃいけないの?」
カッとなって言い返してしまったり、

でもそのあと
「なんで自分の気持ちを言わなかったんだろう」
また別の日には
「なんであんないい方しちゃったんだろう」
と人間関係では同じようなことを繰り返して悩むことが多かったです。

我慢しても、言い返してもスッキリしない。
「もう気の合う人とだけ付き合えばいい。」
そんなふうに思っていた時期もありました。だから人間関係は相手次第。当時の私は本気でそう思っていたのです。


我慢することも、言い返すことも、一見すると正反対の反応に見えます。でも構造分析を学んだことで、「人の心の中には三つの自我(心)がある」ことを知りました。

そして私の場合、この二つに共通していたのは、交流分析でいう「子どもの自我(感情を素直に感じる心)」が反応し、相手の言葉を「責められた」「否定された」と受け取ってしまうことでした。違っていたのは、その後の行動だけだったのです。

構造分析「3つの自我」

■私が気づいた「第三の選択肢」

構造分析で知った「人の言葉をネガティブに受け取りやすい反応パターン」が、実際のコミュニケーションの中でどう現れていたのか。やりとり分析を学ぶことで、その仕組みが見えてきました。



やりとり分析とは、人と人とのやりとりを通して、自分がどのように反応し、どんなパターンを繰り返しているのかを見ていく方法です。


◇相補的やりとり
やりとりがスムーズに行われることを相補的やりとりといいます。


矢印は平行線となり、円滑なコミュニケーションができています。


例えば
夫婦の会話
夫(A):「来週の土曜日、予定入ってる?」①
妻(A):「午後なら空いてるよ。」②
→ 予定を確認したいという言葉を、そのまま受け取っています。

職場での会話
後輩(A):「この資料、一度確認していただけますか?」①
先輩(A):「わかった。確認しとくよ。」②



事例は二つとも、「大人の自我(A)」と「大人の自我(A)」 のやりとりになっていますが、相補的なやりとりはA同士だけではありません。親の自我(P)から関わり、子どもの自我(C)で応じるやりとりや、子どもの自我(C)同士のやりとりなど、互いの自我状態がかみ合っていれば、相補的交流になります。


◇交差的やりとり
そして、「なぜか会話が噛み合わない」「急に相手が強気に出てきた」というトラブルに発展しやすいやりとりを交差的やりとりといいます。


矢印は交差し、やりとりが緊迫します。

夫婦の会話
夫(A):「来週の土曜日、予定入ってる?」①
妻(P):「なんで急に言うの?もっと早く言ってよ!」②
→ 同じ言葉でも、「また私の予定を振り回すの?」と受け取ると、返し方は変わります。

職場での会話
後輩(A):「この資料、一度確認していただけますか?」①
先輩(P):「そのくらい自分で判断できるようにならないと。」②

この二つはともに、「大人の自我(A)」と「親の自我(P)」 のやりとりになっていますが、交差的なやりとりは、一方が伝えたいことと、もう一方が受け取った意味がすれ違うことで起こります。Aからの言葉にCで反応したり、Pからの言葉にAで返したりすることも、交差的交流の一例です。


私はこれまでのやりとりを振り返ってみました。するとあることに気づきました。
相手は、ただ事実を伝えただけだったのかもしれない。


もし、一度立ち止まって、事実と自分の受け取り方を分けて見ることができていたら、「我慢する」「言い返す」以外の選択もできたのかもしれません。


やりとり分析では、一般的に相補的なやりとりが円滑なコミュニケーションにつながると考えられています。でも私は学ぶ中で「交差=悪い」ではないことも知りました。


相補的なやりとりは、良好な関係を築きたいときに役立ちます。一方で、すべての場面で相補的なやりとりを目指せばよいというわけではありません。

自分を守る必要がある場面や、本当は距離を置きたい相手には、あえて交差的なやりとりを選ぶことが必要なこともあります。

大切なのは、「相補的か交差的か」ではなく、自分がどんな関係を望み、そのためにどんなコミュニケーションを選ぶかだと私は思っています。

■同じ言葉でも受け取り方は変わる|そのまま伝わることが奇跡なのかも


この記事を書くために、いくつもの会話の事例を考えていました。

「相補的なやりとりはどんな例だろう。」
「交差するやりとりはどんな例だろう。」

そんなことを考えているうちに、あることに気づきました。

同じ言葉でも、どう受け取るかによって、その後のやりとりはまったく変わるということです。
もちろん、言葉だけではありません。相手の口調やしぐさ、目線、そのときの状況も受け取り方に影響します。
そう考えると、「言葉がそのまま伝わる」ということの方が、むしろ奇跡なのかもしれないと思いました。


その言葉を、私はどう受け取ったのか。

そこに気づくと、その後のやりとりも変わっていくのだと感じたのです。

■「私はこういう性格だから」は思い込みかもしれない

そして、変えられるのは「性格」ではなく、「反応の仕方」だったということです。

「私はあの人みたいに上手に言えない」
「私は変に気が強いところがあるから無理」
と思うかもしれません。でも、人の心の中にはさまざまな自我があります。だから「私はこういう性格だから無理」というのは思い込みなのかもしれません。


私は、冷静に周りを見られるようになったことで、イラっとした時も、「子どもの自我が反応してるな」と一歩引いて見られるようになりました。
すると、その後の返し方を選べるようになってきたのです。

■変わったのは相手ではなく、やりとりだった

「苦手な人とは距離を置きましょう」と言われることがあります。
もちろん、それが必要な場面もあります。でも、仕事や親戚、子どもの関係など、簡単には離れられない人もいます。
そして、もし離れられたとしても、自分の反応が変わらなければ、また似たような人間関係で苦しくなるのかもしれません。

やりとり分析を学んで私が一番変わったのは、「相手を変えよう」と思わなくなったことでした。
この学びを通して、コミュニケーションのパターンを理解すると、より良い人間関係を築くヒントが見えてきます。

相手を変えることはできません。
でも、自分がどう受け取り、どう返すかは選ぶことができます。
関係を切るか続けるかを決めるのは、そのやりとりを見つめ直してからでも遅くはないのではないでしょうか。


■まとめ「幸せは、反応を選ぶところから始まる」


言い返して空気が悪くなるくらいなら自分が我慢すればいいと思うときも。
責められて傷ついた自分を守るために言い返すときも。
それは、ただ幸せになりたかっただけなのかもしれません。

だからこそ、
相手の言葉が本当に自分を傷つけているのか。
それとも、自分の受け取り方も影響しているのか。

考えてみることも大切ではないでしょうか。

コミュニケーションを見つめなおしてみることは、人との関係だけではなく、自分自身との関係も見直すことなのかもしれません。

そのうえで、どんなやり取りを選ぶのか。
それを自分で決められるようになることから、きっと幸せは始まります。

ここに書いたことは、コミュニケーションとしては当たり前のことなのかもしれません。でも、こうして一つひとつのやりとりを見つめてみると、新しく見えてくるものがあります。
だから私は今も、「今、どの自我が反応しているのだろう」と自分に問いかけています。その積み重ねが、人との関係を少しずつ変え、私らしい人生につながっていくと信じています。

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